いけばな ikebana

レンギョウで春の風を表現する|枝ものの曲線を読み取る ―― 枝を揃えるのではなく、「春の風の通り道」を見つける花材 ――

はじめに|レンギョウは「春をほどく線」まだ空気に少し冷たさが残る早春。花屋の棚に、ふわりと黄色い枝ものが並びはじめます。それが、枝いっぱいに小さな花をつけるレンギョウ(連翹)です。桜のような劇的な華やかさはありませんが、レンギョウには季節が...
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雪柳|白い線で春の光をいける ―― “線を整えすぎた” 失敗から学ぶ、しなやかな枝ものの扱い方 ――

はじめに|雪がほぐれて、光になるような枝もの春先、まだ空気に冷たさが残る頃。庭先や道端で、こぼれるように小さな白い花を咲かせる――それが「雪柳(ゆきやなぎ)」です。細くしなやかな枝いっぱいに、小さな白い花が連なって揺れる姿は、まるで冬の名残...
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菜の花|春をほどく香りと、やわらかな線の扱い方 ―― 触れるたびにほぐれていく花。生け花初心者さんへ。

はじめに|菜の花は「切る前に教えてくれる花」春の訪れを、いちばん早く知らせてくれる花材――それが「菜の花」です。黄色い花がふわりと咲き始めると、まだ空気は冷たくても、心のどこかがほどけていきます。生け花の稽古でも、菜の花は「春を生ける花」と...
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チューリップを生ける|曲線とやわらかな春の動き ― 真っすぐ生ける?それとも動きを活かす?迷いやすい花材をやさしく紐解く ―

はじめに春の花屋に並ぶチューリップは、見るだけで心がふわりと明るくなる花です。丸みのある花びら、柔らかく伸びる茎、淡くやさしい色合い。その姿には、春の光のような軽やかさと、素直な可憐さが漂います。けれど、生け花で扱ってみると、多くの方が同じ...
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春を生ける ― 桜の扱い方と、そこに込められた意味 ― 「散りゆく美しさ」を花として生けるということ

はじめに|桜を前にすると、言葉より先に心が動く桜を花材として手にしたとき、いつもの花とは少し違う感覚が芽生えることがあります。嬉しさ、切なさ、春が来たという喜び――そのどれでもあり、どれでもない、言葉の奥にある感情の記憶のようなもの。日本人...
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世界に広がる生け花 ― 海外で愛される理由と、日本人が忘れていた感性 ―

■ はじめに|「なぜ海外に?」という素朴な疑問から生け花を習いはじめた方の中には、こんな話を耳にしたことがあるかもしれません。「今、海外で生け花を学ぶ人がとても増えているんです。」はじめて聞くと少し驚きますよね。日本の伝統文化である生け花が...
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形式と自由。 生花・盛花・自由花の違いをやさしく紐解く ――「型を知ること」が、やがて自由につながっていく

■ はじめに|稽古を続けるほど生まれる疑問生け花を習い始めて、しばらく経つと、先生からこんな言葉を聞くことがあります。「今日は生花(しょうか)をしましょう。」「次は盛花(もりばな)で構成してみましょう。」「自由花(じゆうか)にも挑戦しましょ...
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水揚げの基本と植物の仕組み ― 花はどうして水を吸うの?仕組みを知ると扱いが変わる ―

■ はじめに|「水揚げがうまくいかない…」その悩みは自然なこと生け花を習い始めた頃、多くの方が最初に感じる壁があります。それは技法でも形でもなく――水揚げです。「教室では元気だった花が、家ではすぐしおれてしまう」「水換えはしているのに、翌朝...
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生け花の道具のきほん 花鋏・剣山・花器の役割と選び方 ― 初心者の迷いを解消する、やさしい道具案内 ―

■ はじめに|「何を揃えればいいんだろう?」から始まる迷い生け花を習いはじめた方が、最初につまずきやすいのが道具選びです。教室の棚には、さまざまな大きさの剣山、花鋏、そして形も材質も異なる花器が並んでいます。「どれが必要?」「最初は何を買う...
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流派の違いはむずかしい? 池坊・小原流・草月流をやさしくたどる旅 ――違いを知ると、生け花がもっと楽しくなる

◆はじめに|気づき始めた「違い」という扉生け花を習い始めると、だんだん見えてくるものがあります。同じ花材、同じ花器なのに――作品の雰囲気が先生ごとに全く違う。同じ稽古場でも、先輩の作品が纏う空気はそれぞれ。「この違いはどこから来るんだろう?...